宗春の変革は、失敗だったのか?

◎新政権は前政権の否定から始める

 古今東西、変革を掲げた前政権は、新政権により再度変革されることとなる。アメリカ、韓国、マレーシア……変革は、極めてドラスティックである。政権側も常に、変革途上だから続けさせよ、と主張するから厄介この上ない。かくして政治家は異口同音に変革を訴える。蓋し変革は民主主義の宿命的キーワードだ。ただし、変革が常に良いものとは限らないから、我々は見極める力を養わなければならない。それを培うには自らの経験を含めた歴史に学ぶしかない。

 幕府と尾張家臣の信任を得て藩主となった宗勝もやはり前任者の否定から始めた。

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宗春を追い落とした家臣たち

柳営日次記

◎不都合な真実は幕府の日記にあった

 PKO活動で当該エリアでの戦闘の有無が国会で議論された際、自衛隊の日記を破棄したという耳を疑う言葉があった。結局はデータとして残っていたわけだが、国が行っている活動の記録がPKOやりました、だけで済むわけはない。現場の記録を軽視している。事件は現場で起こっているのだ。

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千両箱盗難事件

◎一顧だにされなかった事件

 尾張家市ケ谷上屋敷で起きた千両箱盗難という耳目を引く事件ながら、なぜかこれまでの研究、他の小説で全く触れられていない。このため一般にもほとんど知られていないので「宗春躍如」における記述すべてが創作だと思われないかと筆者は危惧する。史料からこの事件の存在を示し、事件の結果が尾張家中に及ぼした影響を考察する。

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太宰春台コネクション

太宰春台と宗春

◎奇を好む儒者

 太宰春台は荻生徂徠の門下の博覧強記の儒学者である。厳しく子弟の礼を求め、大名の子弟にも同様に謹厳であった。その説くところは明快至極。「今の世では金銀を手に入れる計をなすことが急務であり、それには商人のように売買することが一番近道である。領主が金を出して国の土産や貨物を全部買い取って他国で売るのが良い」と明らかに重商主義的な経済思想へ進展=転換している。商人の真似をするな、などとは言わないのだ。

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入墨か、半剃りか

◎入墨は極道。タトゥーはおしゃれ。

 オリンピックを機に銭湯の「入墨者お断り」を見直そうという。筆者が銭湯を利用していた京都では倶利迦羅紋紋のおじさんを時々見たものだが、恐怖を感じることはなかった。それが集団になると威圧感も出てくるだろうが、入墨者はマイナリティだった。谷崎潤一郎の書いた張りのある女の白い肌の刺青は想像の中で美しいが、実際に男風呂で見たものの多くは輪郭がぼけて猫か虎かわからなくなって垂れた肉の上にへばり付いて萎びていた。

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敢えて正室として迎えず 謎の美女阿薫

阿薫和歌集

◎部屋住みは辛いよ

 尾張藩主の弟たちが最初に迎える妻は側室と相場は決まっている。なぜなら当主に万一のことがあれば御三家当主に相応しい正室を迎えなければならないからだ。宗春の兄の継友は藩主となってから摂家の近衛家の姫を迎えた。吉宗も紀州藩主となってから伏見宮の女王を正室に迎えている。紀州家は二代藩主光貞の正室も同じく伏見宮の女王だ。一方、尾張家三代の吉通の正室は摂家の九条家だった。御三家の序列では尾張が上なのに、正室の出自は逆転しているのだ。

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好奇心を解き放て

◎人は新し物好き

 Eスポーツがアジア大会のデモンストレーション競技となる。ゲームのやり過ぎはダメ、と言われていたのに選手は一日十数時間没頭するらしい。一昔前はTVばかり見ていてはダメ、一億総白痴化と言われたものだが、今はTV離れという。変われば変わるものだ。蓋し人の興味の的は次々と移っていくのだろう。江戸時代、芝居は風俗を乱すからダメ、と興行が制限されていた。

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