名古屋が踊る(2/2)

◎盆踊りが中断

 かくして盆踊りが始まった。

「町々踊、古今稀なる賑わい、衣装は様々見事なること也」(「遊女濃安都」)

 あろうことか三日目の十五日の朝、江戸から訃報が届いた。宗春の五女八百姫が去る十二日に二歳で早世したのだった。因みに五月には三女の八千姫が六歳で亡くなっている。城下には触れが廻り、当面十七日までは町中踊りは停止となった。「もう一日あったのに!」衣装を新調した町人らは、不完全燃焼だったろう。単なる中断でなく突然の訃報だったから意気消沈の度合いは大きかったに違いない。

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