犠牲は無用

◎千金の宝物も人命には替えらえない

宗春の著したマニフェスト「温知政要」で火事への備えについて書かれた条がある。

 火災の際にすぐに集まることができる人数が意外に少ないことを念頭にして、

「多からぬ人数を方々へわけて、火も防がせ、道具の支配も致させ、いろいろのことに使ひては、いずれの方の間も合わず、死傷の者多くできるよりほかあるまじ。たとひ千金をのべたる物にても、かろき人間一人の命にはかへがたし、これらの類、皆々上たる者の勘弁なく不裁許より起る事なり。」

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