入墨か、半剃りか

◎入墨は極道。タトゥーはおしゃれ。

 オリンピックを機に銭湯の「入墨者お断り」を見直そうという。筆者が銭湯を利用していた京都では倶利迦羅紋紋のおじさんを時々見たものだが、恐怖を感じることはなかった。それが集団になると威圧感も出てくるだろうが、入墨者はマイナリティだった。谷崎潤一郎の書いた張りのある女の白い肌の刺青は想像の中で美しいが、実際に男風呂で見たものの多くは輪郭がぼけて猫か虎かわからなくなって垂れた肉の上にへばり付いて萎びていた。

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敢えて正室として迎えず 謎の美女阿薫

阿薫和歌集

◎部屋住みは辛いよ

 尾張藩主の弟たちが最初に迎える妻は側室と相場は決まっている。なぜなら当主に万一のことがあれば御三家当主に相応しい正室を迎えなければならないからだ。宗春の兄の継友は藩主となってから摂家の近衛家の姫を迎えた。吉宗も紀州藩主となってから伏見宮の女王を正室に迎えている。紀州家は二代藩主光貞の正室も同じく伏見宮の女王だ。一方、尾張家三代の吉通の正室は摂家の九条家だった。御三家の序列では尾張が上なのに、正室の出自は逆転しているのだ。

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【なごや新地巡り】富士見原

◎江戸時代のスーパー銭湯

 スーパー銭湯の発祥が名古屋という話を調べてみたら、名古屋コンベンションビューローのウェブサイトは「1985年の高岡市が一番古い」とあっさりとその座を譲っている。それ以前からヘルスセンターという複合温泉施設は存在しており、何をもってスーパー銭湯というかあいまいではある。銭湯を中心とした複合遊戯施設と定義すれば実は名古屋が日本で一番古い。それは享保十七(1732)年夏のこと。

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